イタリアと聞くと、美しい街並みや歴史ある建物、おしゃれな雰囲気を思い浮かべる方も多いかもしれません。
私も以前は、イタリアに対して「観光」や「食文化」のイメージが強くありました。
けれど、防災について学ぶようになってから、少し見え方が変わりました。
実はイタリアも、日本と同じように地震が多い国です。
過去には大きな地震が何度も起こり、たくさんの建物や歴史的な街並みが被害を受けてきました。

そんなイタリアでは、国や自治体だけに防災を任せるのではなく、研究機関、地域のボランティア、市民が一緒になって地震に備える取り組みが進められています。
なかでも私が印象に残ったのが、
「地域の人が、地域の人に防災を伝える」
という市民参加型の活動です。
今回は、地震大国イタリアで行われている地震対策について、初心者の方にも分かりやすくご紹介します。
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イタリアも日本と同じ「地震が多い国」
イタリアは、地中海周辺のなかでも地震リスクが高い国のひとつです。
イタリア政府の市民保護局によると、イタリアの国土全体に地震の可能性があり、すべての市町村が地震による被害を受ける可能性があるとされています。
特に、イタリアを南北に走るアペニン山脈周辺や、南部のカラブリア州、シチリア島東部などでは、強い地震が発生しやすいとされています。

日本に住んでいると、「地震が多い国」といえば、まず日本を思い浮かべますよね。
でも、イタリアも昔から大きな地震による被害を繰り返してきた国なのです。
ただし、地震が
「いつ」「どこで」「どのくらいの強さで」
起こるのかを、正確に予測することはできません。
だからこそイタリアでは、
「地震を予知すること」ではなく、
「地震が起きても、被害をできるだけ減らすこと」
を大切にしています。
これは、日本の防災にも通じる、とても大事な考え方だと思います。
歴史的な建物が多いイタリアならではの課題
イタリアには、古い石造りの建物や、歴史的建造物が数多く残されています。
あの美しい街並みは、イタリアの大きな魅力です。
でも、防災の視点で見ると、建物の古さや構造によっては、地震の揺れに弱い場合があります。

イタリアは、地震そのものの危険だけでなく、古い建物やインフラの壊れやすさ、人口の多さ、そして守るべき文化財が多いことから、地震による被害が大きくなりやすい国でもあります。
つまり、
「イタリアは地震対策が進んでいるから、どこでも安心」
というわけではありません。
むしろ、大きな課題を抱えながらも、少しずつ対策を進めている国だと考えたほうがよいでしょう。
完璧ではない。
でも、できることから積み重ねている。
その姿勢に、私はとても学ぶところがあると感じました。
地域ごとに地震の危険度を分けている
イタリアでは、地域ごとの地震の起こりやすさなどを調べ、危険度に応じて地域を分類しています。
そして、その地域の危険度に合わせて、建物を建てるときに守らなければならない耐震基準が定められています。
イタリアの耐震基準では、比較的小さな地震では建物に深刻な被害が出ないこと。
そして、強い地震では建物が簡単に倒壊せず、人の命を守ることが重視されています。
これは、日本の耐震基準にも通じる考え方です。

地震そのものを止めることはできません。
けれど、建物の倒壊を防ぐことで、失われる命を減らすことはできます。
防災は、未来を完全に当てることではなく、
「もし起きたら、どう命を守るか」
を考えることなのだと思います。
市民に防災を伝える「Io non rischio」
イタリアの地震対策のなかで、特に印象的だったのが「Io non rischio」という市民向けの防災活動です。
「Io non rischio」は、日本語にすると
「私は危険を冒さない」
「私はリスクに備える」
といった意味に近い言葉です。
この活動では、防災ボランティアが地域の広場などに集まり、市民に対して、地震や洪水、津波、火山などの危険について伝えます。

ここで大切なのは、専門家が一方的に難しい説明をするだけではない、ということです。
地域の防災ボランティアが、住民と直接話しながら、分かりやすく防災を伝えているのです。
国の市民保護制度、研究機関、自治体、ボランティア。
そして、そこに暮らす市民。
それぞれがつながりながら、地域全体で防災意識を高めています。
防災って、本当はこういう形が理想なのかもしれない。
そう感じました。
地域の人が地域の人に防災を伝える
災害への備えは、行政や専門家だけが行うものではありません。
実際にその地域で暮らしている人が
「この地域には、どんな危険があるのか」
「地震が起きたとき、どこへ避難するのか」
「自宅では、どのような備えが必要なのか」
を知っておくことが大切です。
地域で活動しているボランティアであれば、その土地の特徴や、住民の暮らしを理解しています。
同じ地域で暮らす人から説明を受けることで、防災はぐっと身近なものになります。
「誰かに守ってもらう防災」だけではなく、
「地域のみんなで一緒に備える防災」。
ここが、イタリアの取り組みの大きな特徴だと感じました。
イタリアの防災ボランティアは研修を受けた専門的な存在
イタリアの防災ボランティアは、災害が起きたときに、その場で自由に集まって活動するだけの存在ではありません。
市民保護ボランティアとして活動するためには、国の名簿に登録された団体などに所属し、必要な研修や訓練を受けます。
活動内容は、避難所の設営、住民への支援、救助、医療、通信、山火事への対応、文化財の保護など、さまざまです。
担当する役割に応じて知識や技術を身につけ、災害時には行政、消防、医療機関などと連携して活動します。

ボランティアではありますが、組織の一員として継続的に訓練を重ねる、専門性の高い存在です。
ただし、全員が職業として活動する「プロ」だったり、同じ国家資格を持っていたりするわけではありません。
そのため
「研修と訓練を積んだ、組織化された防災ボランティア」
と表現するのが、より正確だと思います。
ボランティアの研修時間
イタリアの防災ボランティアについては
「約100時間の研修を受ける」と紹介されることがあります。
ただ、すべてのボランティアが全国一律で100時間の研修を受けるわけではありません。
研修時間や内容は、地域や所属団体、担当する活動によって異なります。
まず基礎研修を受け、その後、避難所運営、無線通信、応急手当、洪水対応など、それぞれの役割に応じた専門研修や実地訓練を重ねていきます。
そのため、複数の研修を受けた結果、合計が数十時間から100時間前後になる場合もあるようです。
防災ボランティアと聞くと、少し身近な存在に感じます。
でも実際には、地域を守るために学び続けている、とても頼もしい存在なのだと思いました。
自宅の安全性を確認することを重視
イタリアの市民保護局は、地震から命を守るためには、自分が住んでいる家の安全性を知ることが重要だと伝えています。
どれだけ非常食や防災グッズを準備していても、地震によって自宅が倒壊してしまえば、命を守ることが難しくなるからです。
自宅がいつ建てられたのか。
どのような構造なのか。
耐震性に問題はないのか。
そうしたことを確認し、必要に応じて専門家に相談することが勧められています。
場合によっては、建物全体を建て替えなくても、壁を補強したり、壁と床の接続部分を改善したりすることで、安全性を高められることがあります。
これは、日本でもとても大切な視点です。
特に、古い耐震基準で建てられた住宅に住んでいる場合は、耐震診断や耐震補強について調べておくことが、命を守る備えにつながります。
家の中でできる地震対策も紹介している
建物そのものの耐震化には、費用や時間がかかることがあります。
一方で、家の中の地震対策は、今日からでも始めることができます。
イタリアでは、地震への備えとして、次のような対策が紹介されています。
・重い物を棚の低い位置に置く
・家具や棚が倒れないように固定する
・絵や鏡を落ちにくい金具で取り付ける
・ガス、水道、電気の止め方を確認する
・家の中の安全な場所を確認する
・懐中電灯や救急用品を準備する
・家族で地震発生時の行動を話し合う
どれも、日本の家庭で実践できる内容です。
防災というと、非常食や水を買うことに意識が向きがちです。
もちろん、それも大切です。
でも、家具の固定や室内の整理も、命を守るための大事な地震対策です。
まずは、寝ている場所の近くに倒れてきそうな家具がないか。
高いところに重い物を置いていないか。
そんな小さな確認からでも、立派な防災の一歩です。

地震が起きたときの行動を事前に学ぶ
地震が起きたとき、人は驚いて、すぐには動けないことがあります。
だからこそ、地震が起きてから考えるのではなく、事前に行動を確認しておくことが大切です。
イタリアでは、屋内にいるときは、丈夫な机やベッドの下、建物を支える壁の近くなどで身を守るよう案内しています。
また、揺れている最中に慌てて外へ飛び出さないことも大切です。
屋外では、建物、街灯、電線などから離れ、落下物に注意します。
そして地震の後には、橋の倒壊、土砂災害、ガス漏れなど、揺れ以外の危険にも注意が必要です。
知っているか、知らないか。
たったそれだけで、いざというときの判断は変わります。
だからこそ、普段から少しずつ学んでおくことが大切なのだと思います。
イタリアの防災から日本が学べること
日本にも、自治体の防災訓練や自主防災組織、防災士、消防団など、地域で防災に取り組む仕組みがあります。
でも、訓練や講座に参加する人が限られていたり、防災に関心のない人まで情報が届きにくかったりすることもあります。
これは、日本の地域防災における大きな課題ではないでしょうか。
イタリアの「Io non rischio」のように、人が集まる広場や身近な場所で、地域のボランティアが住民と会話しながら伝える方法は、日本でも参考になると思います。
防災イベントとして特別な場所を用意するだけではなく、お祭りや地域行事、商業施設などで、気軽に防災について話せる機会をつくる。

そんな形なら、普段は防災にあまり関心がない人にも、少しずつ情報が届くかもしれません。
防災に詳しい人だけでなく、普段は防災を意識していない人に、どうやって伝えるのか。
そこに、これからの地域防災の大切なヒントがあるように感じます。
防災は国や自治体だけが行うものではない
大きな災害が発生すると、消防、警察、自衛隊、医療機関、行政などが救助や支援を行います。
でも、広い範囲で同時に被害が発生した場合、すぐにすべての場所へ助けが届くとは限りません。
だからこそ、一人ひとりが自分の地域の危険を知り、自宅を安全にし、地震発生時の行動を確認しておく必要があります。
そして、近所の人と顔の見える関係をつくっておくことも大切です。

いざというとき、声をかけ合える人がいる。
助けを求められる人がいる。
それだけでも、災害時の安心感は大きく変わると思います。
イタリアの取り組みからは、専門家の知識だけではなく、地域の人同士で防災を伝え合うことの大切さを学べます。
まとめ|地震を防ぐことはできなくても被害は減らせる
イタリアは、美しい歴史的な建物が多い一方で、地震による大きな被害を受けやすいという課題を抱えています。
決して、すべての建物が地震に強く、対策が完璧な国というわけではありません。
それでも、地域ごとに地震の危険度を調べ、耐震基準を定め、市民に分かりやすく防災を伝える活動を続けています。
特に印象的なのは、国や自治体だけでなく、研究機関、ボランティア、市民が一緒になって防災に取り組んでいることです。

地震が起きることを止めることはできません。
でも、建物を強くすること。
家具を固定すること。
必要な物を備えること。
正しい行動を知ること。
地域で助け合うこと。
そうした一つひとつの備えで、被害を減らすことはできます。
まずは、自宅の中に倒れそうな家具がないか、危険な場所がないかを確認することから始めてみませんか。
一人ひとりの小さな備えが、家族と地域の命を守る力になります。
イタリアの取り組みを遠い国の話で終わらせず、私たちの暮らしの中でできることから、一つずつ始めていきたいですね。



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