先日、三重県松阪市にある「ぱんカンぱん」さんの工場を見学させていただきました。
今回は、私にとって初めての「防災系インフルエンサー」としての工場見学です。
少し緊張しながら伺いましたが、スタッフの方がとても親切に案内してくださり、災害備蓄用パンの製造工程だけでなく、施設が大切にしている思いや、利用者さんの働く様子についても詳しく教えていただきました。
実際に工場を見学して感じたのは、「ぱんカンぱん」は、ただパンを作っている工場ではないということです。
災害時に誰かを支えるパンを作りながら、障害のある方の働く場所や、将来の自立も支えている、とても温かな施設でした。
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名古屋のオフィス防災EXPOで出会った「ぱんカンぱん」さん
私が「ぱんカンぱん」さんを知ったのは、2026年2月に名古屋で開催されたオフィス防災EXPOです。
会場で担当者の方から商品の説明を受け、災害備蓄用の缶入りパンのサンプルをいただきました。
実際に食べてみると、非常食というイメージを超える、やわらかくて優しい味のパンでした。

「このパンは、どのような場所で作られているのだろう」
そう思い、公式ホームページを詳しく見てみることにしました。
そこで初めて知ったのが、「ぱんカンぱん」さんは、災害備蓄用パンを製造する工場であると同時に、社会福祉法人ベテスタが運営する就労継続支援B型事業所だということでした。
一般企業などで働くことが難しい方に働く機会を提供し、利用者さんが職員さんの支援を受けながら、パンの製造や検品、缶拭きなどの作業に取り組んでいます。

公式サイトによると、施設は2018年7月に開設され、同年8月に就労継続支援B型事業所として認可されました。利用定員は20名です。
防災備蓄用のパンを作ることが、障害のある方の働く場所や社会とのつながりを支えているのです。
「親亡き後」という言葉を他人事に思えなかった
「ぱんカンぱん」のホームページを読み進める中で、私の目に留まったのが、
「親亡き後をどう考える」
という言葉でした。
「親亡き後」とは、障害のある子どもを残して親が先に亡くなったとき、その子の生活や支援、居場所をどうしていくのかという問題です。
社会福祉法人ベテスタでは、「支援者」「生活費」「居場所」という3つの不安を減らし、親が亡くなったあとも、本人が福祉サービスを利用しながら生活できる仕組みづくりに取り組んでいます。

私は、自分の子どもの自立について、長い間悩んだ時期があります。
将来、子どもが一人で生活していけるのだろうか。
親である自分がいなくなったあと、この子は大丈夫なのだろうか。
そのような不安を抱えたことがあるため、「親亡き後」という言葉が心に刺さり、どうしても他人事とは思えませんでした。
働く場所があること。
その人を理解して支えてくれる人がいること。
安心して過ごせる居場所があること。
それは、本人にとってはもちろん、家族にとっても大きな安心につながるのだと思います。
就労継続支援B型事業所として作られる災害備蓄用パン
「ぱんカンぱん」は、もともと北海道の社会福祉法人江差福祉会のOEM工場として三重県松阪市に開設されました。
その後、就労継続支援B型事業所として、災害備蓄用の缶入りパンを製造するようになりました。
大きな食品工場のように、すべての作業を機械だけで行うのではありません。
パンの整形や缶入れ、缶拭き、検品など、利用者さんが手作業で担当できる工程も数多くあります。

一人ひとりが力を合わせることで、災害時に誰かの役に立つ商品が完成します。
公式サイトにも、利用者さんの手作業で行える工程を多く設け、力を合わせて商品を完成させることが、働く喜びや人生の輝きにつながるという思いが紹介されています。

能登半島地震の際には自治体から多くの注文
スタッフの方によると、2024年の能登半島地震の際には、自治体などからの注文が多く入ったそうです。
災害が起きたとき、調理せずに食べられ、長期間保存できるパンは大切な備蓄になります。
ぱんカンぱんの缶入りパンは、真空技術や殺菌技術によって、製造から5年間の長期保存が可能です。
また卵不使用のパンです。
現在販売されているのは下記の4種類で、それぞれとても美味しいです。
⭕️プレーン
⭕️チョコ
⭕️ストロベリー
⭕️抹茶黒豆

(写真の右下の商品は、地元企業・高校との限定コラボ商品です)
公式サイトでは、主な特徴として次の内容が紹介されています。
・やわらかなまま5年間保存できる
・缶切りを使わず簡単に開けられる
・1缶に2個入りで分けやすい
・防腐剤や脱酸素剤を使用していない
・幼児から高齢者まで食べやすい
一人ひとりに合った仕事を担当
食品工場では、決められた手順を守り、衛生面や安全面にも注意しながら作業を行う必要があります。
工場見学で伺ったお話では、複雑な作業が難しい方でも取り組みやすいように、基本的には一日に一種類のパンを作り続けるそうです。

作業を分かりやすくし、繰り返し担当することで、一人ひとりが自分の役割に集中できます。
公式サイトにも、工場内にはさまざまな工程があり、その人に合った作業を提供し、それぞれの強みを発揮できるようにしていると書かれています。
私が見学した日も、皆さんがとても真面目に、真剣な表情で作業に取り組んでいました。
見学者である私にも、きちんと挨拶をしてくださいました。
とても礼儀正しく、一つひとつの仕事を大切にされていることが伝わってきました。
1日に最大約2,400個を製造
工場見学でスタッフの方に伺ったところ、工場では現在、約15種類のパンを製造しているそうです。
フレーバーの開発も「ぱんカンぱん」さんで行われています。
一日に製造できる数は、最大で約2,400個。
工場のラックオーブンでは、一度に約800個のパンを焼き上げることができます。
焼き上がったパンは、災害時に汚れた手でも食べやすいよう、逆さまにして2個ずつ缶の中へ手作業で入れられます。

製造工程を見学すると、パンが焼き上がるまでだけでなく、缶を密封し、殺菌し、検査を行い、出荷するまでに多くの工程があることが分かりました。
一つの缶入りパンが完成するまでに、たくさんの方の手と、丁寧な確認が重ねられています。
そして、工場内は、とても清潔な空間となっていました。

売上が利用者さんの工賃につながる
就労継続支援B型事業所では、一般企業のような雇用契約に基づく給与ではなく、仕事によって得られた収益から利用者さんに「工賃」が支払われます。
そのため、商品が売れて事業の収益が増えることは、利用者さんの工賃や生活の質の向上にもつながります。

社会福祉法人ベテスタは、北海道の福祉法人との事業提携によって、全国平均を上回る工賃を目指す事業づくりに取り組んでいます。
防災のために商品を購入することが、障害のある方の仕事や自立を支えることにもなる。
それは、このパンの大きな魅力の一つだと思います。
株式会社BSKで一般就労への道も
「ぱんカンぱん」の工場内には、株式会社BSKも併設されています。
工場見学で伺ったお話では、三重県内での障害者雇用につなげる目的もあり、同じ敷地内に会社を設けることになったそうです。
就労継続支援B型事業所で経験を積んだあと、本人の能力や希望に応じて、株式会社BSKで障害者雇用や一般雇用を目指す道も用意されています。
公式サイトでも、利用者さんの熟練度に応じて株式会社への一般就労が可能であり、うまくいかなかった場合にも再び就労移行支援などで挑戦できる仕組みが紹介されています。
一度失敗したら終わりではなく、何度でもやり直すことができる。
そのような仕組みがあることは、本人にとっても、家族にとっても大きな安心になると思います。

幅広い年代の方が働いている
スタッフの方のお話では、18歳から68歳までの幅広い年代の方が利用しているそうです。
送迎車を利用する方もいれば、電車などを使って通っている方もいます。
食品工場で安全に働くためには、指示の内容を理解できること、必要なコミュニケーションが取れること、決められた時間まで待てることなども大切です。
そのため、希望すれば誰でもすぐに利用できるわけではなく、本人の状態や適性を確認しながら利用が決まります。
公式サイトでは、利用者さんの年齢は不問で、作業時間についても相談でき、送迎や昼食も用意されていると案内されています。

規格外の冷凍パンは地元でも人気
2026年4月からは、製造工程で規格外となったパンを冷凍して販売する取り組みも始まったそうです。
規格外といっても、味や品質に問題があるわけではありません。
発酵時間などの関係で、パンの膨らみ方や形に違いが出たものが対象です。
価格は5個入りでなんと200円🌟数量限定商品です🌟

種類は以前はランダムでしたが、最近では種類ごとに袋詰めされるようになったと伺いました。
おいしく食べられるパンを廃棄せず、手頃な価格で販売することは、食品ロスの削減にもつながります。
地元でもとても人気があるそうで、私もぜひ購入しに行きたいと思っています。
※冷凍パンの価格や販売方法、在庫状況については、工場見学時に伺った内容です。
購入前に施設へご確認ください。
常温で約3か月保存できるラスクも販売
冷凍パンと一緒に、ラスクも販売されています。
工場見学で伺った内容では、6枚入りで150円、賞味期限は常温で約3か月です。
冷凍ではなく、袋詰めされた状態で販売されています。

普段のおやつとしてはもちろん、少し長く保存できるお菓子として、ローリングストックにも取り入れやすそうです。
※価格や販売状況は変更されることがあります。
防災用品を購入することが、誰かの働く力になる
今回の工場見学を通して、「ぱんカンぱん」は単なる災害備蓄用パンではないと感じました。
一つの缶の中には、
災害時に食べる人を支えたいという思い。
真剣に仕事に取り組む利用者さんの思い。
その人らしく働き、自立してほしいと願う職員さんや家族の思い。
さまざまな思いが詰まっています。
防災用品を選ぶとき、保存期間や価格だけでなく、
「誰が、どのような思いで作っているのか」
という視点を持つことも大切なのかもしれません。
ぱんカンぱんを購入して備蓄することは、自分や家族を守る備えになると同時に、障害のある方の働く場所や工賃を支えることにもつながります。
なお、ぱんカンぱんの保存期間や味、災害時に役立つ理由については、別の記事で詳しく紹介しています。
【内部リンク:ぱんカンぱんを実食レビュー|5年保存できる缶入りパンの特徴】

「ぱんカンぱん」さんの施設情報
ぱんカンぱんさんについての施設情報を記載いたします。
災害備蓄用の缶入りパンや、施設の取り組みについては
公式ホームページで詳しく紹介されています。
冷凍パンやラスクの販売状況は、変更になる場合があります。
購入や訪問を予定されている方は、事前に公式ホームページなどでご確認ください。
ぱんカンぱんさんの施設情報
施設名:就労継続支援B型ぱんカンぱん
運 営:社会福祉法人ベテスタ
所在地:〒515-0041 三重県松阪市上川町1921-1
お問い合わせ:TEL 0598-28-5130 FAX0598-28-5131
公式ホームページ:pancanpan.jp

工場見学を終えて
初めて防災インフルエンサーとして工場を見学させていただき、最初は少し緊張していました。
しかし、スタッフの皆さんが温かく迎えてくださり、とても丁寧に説明してくださいました。
そして、真剣に働く利用者さんの姿を、実際に見ることができました。
「親亡き後」という言葉をきっかけに関心を持った場所でしたが、そこで出会ったのは、不安だけではありません。

働く喜び。
人とつながること。
誰かの役に立つこと。
そして、一人ひとりの未来や自立を支える温かな仕組みでした。
防災のために備えるパンが、誰かの働く場所を守り、家族の安心にもつながっている。
そのことを、これから多くの方に知っていただけたらと思います。
ぱんカンぱんの皆さま、このたびは貴重な工場見学の機会をいただき、本当にありがとうございました。


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