先日、専門職防災講習で、避難所運営ゲーム「HUG(ハグ)」を体験してきました。
防災について学んでいても、実際に受け入れる側として考えてみると、初めて気づくことがたくさんあります。
今回、強く心に残ったのは、さまざまな人を一度に受け入れる難しさと、運営する人自身も被災者かもしれないということでした。
この記事では、私が訓練を通して感じたことをお伝えします。
訓練での体験と、そこから考えたことをまとめた記録です。

HUGとは? 避難所運営を考える図上訓練
HUGは、静岡県が開発した、避難所運営を疑似体験する図上訓練です。
避難者の年齢や国籍、家族の状況など、さまざまな事情が書かれたカードを、体育館や教室に見立てた平面図に配置します。
同時に、避難所で起こる出来事にどう対応するかを考えます。
HUGという名称は、避難所(Hinanjo)、運営(Unei)、ゲーム(Game)の頭文字から来ています。
人が入れる場所を見つけるだけでなく、それぞれの事情に配慮して考えることが求められる訓練です。
私には、目の前の課題に向き合うだけでも簡単ではありませんでした。
避難所に来るのは、地域の住民だけではない

今回の訓練では、地元に住んでいる人だけでなく、たまたま通りかかった人、海外からの旅行者、バスツアーの団体などを受け入れる場面がありました。
土地勘がなく、近くに頼れる人もいない。
言葉が通じず、何が起きているのかわからない。
そうした状況なら、不安はさらに大きくなると思います。
私は、避難所というと地域の人たちが集まる場所として考えていました。
でも、災害が起きるとき、その場所にいる人は住民だけではありません。
地域の外から来た人も含めて考える必要があることに気づきました。
同じ場所にいても、必要な支援は違う

身体に障害のある人、集団で過ごすことが難しい人、
赤ちゃん連れの家族など、さまざまな事情を持つ人も訓練に登場しました。
移動が難しい人には、通路やトイレまでの動線が負担になるかもしれません。
多くの人と一緒に過ごすことがつらい人には、落ち着ける環境が必要かもしれません。
赤ちゃん連れの家族には、授乳やおむつ交換などへの配慮も考えられます。
ただし、同じ属性の人でも、困りごとは同じではありません。
「この人にはこれが必要」と決めつけず、本人や家族の希望を確認することも大切だと感じました。
場所を確保することと、安心して過ごせることは、必ずしも同じではない。
その違いを、訓練で考えさせられました。
幼い子どもたちの設定に、胸が痛んだ

今回の訓練には、災害で両親を亡くした幼い子どもたちという設定もありました。
訓練の想定だとわかっていても、その子どもたちの気持ちを考えると、とてもつらくなりました。
安全に過ごせる場所を用意するだけで、その不安や悲しみに対応できるわけではありません。
もし現実にこうした状況が起きたら、自分たちだけで抱え込まず、子どもの安全を守りながら、行政や専門の支援につなぐことも必要になるだろうと思いました。
カードの向こうには、一人ひとりの生活がある。訓練をしながら、そのことを強く感じました。
避難所を運営する人も、被災者かもしれない

受け入れる側も、自分の家や家族のことが心配な状況かもしれません。
大切な人を失い、悲しみを抱えている可能性もあります。
その中で、次々に来る人を受け入れ、必要な対応を判断する。
私は、その重さを想像して、避難所運営は本当に大変なことだと感じました。
誰か一人が頑張り続けることを前提にせず、役割を分け、休めるようにし、困ったときに相談できる関係をつくっておく。
支える側を支えることも、備えとして考えていきたいと思いました。
災害が起きる前に、迷い、話し合う意味
今回の体験で、「こうした訓練をしていなければ、混乱の中で落ち着いて物事を進めるのは難しい」と感じました。
もちろん、訓練に参加しただけで、災害時にすべてうまく対応できるわけではありません。
それでも、初めて考えることを少しでも減らす準備にはなると思います。
どんな人が来る可能性があるのか。どんな場面で判断に迷うのか。
誰に相談し、どのように役割を分けるのか。
平時なら、立ち止まって話し合えます。
訓練で戸惑ったことは、次の備えを考えるきっかけになります。
うまくできなかったという気持ちも含めて、今回の学びを大切にしたいです。
自分の備えにも、今回の気づきを生かしたい

私自身も、持ち出し品だけでなく、自分に必要な配慮や、困ったときに伝えたいことを整理しておきたいと思いました。
日頃から必要な物や連絡先を確認し、地域の訓練に参加する機会があれば、避難する側と支える側の両方の視点で学びたいです。
避難所には、さまざまな事情を抱える人が集まります。
そして、支える人も不安や悲しみを抱えているかもしれません。
避難する人も、運営する人も、大切にされるように。
誰か一人に無理を集中させず、助けを求め、支え合えるように。
HUGで感じた現実の重さを、これからの備えにつなげていきたいと思います。
参考:静岡県「避難所運営ゲーム(HUG)について」
https://www.pref.shizuoka.jp/bosaikinkyu/sonae/earthquake/bosaicenter/1003638/1043919/1030041.html
静岡県「HUGについて(進め方)」
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/030/041/hugmanual.pdf


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