地震で倒れた家具や、崩れた建物のがれき。その下に人が挟まれていたら、「早く助けたい」と思いますよね。
無事に救出できて、言葉を交わせたときには、周りの人もほっとすると思います。
しかし、長時間体を圧迫されていた人は、救出後に体調が急変することがあります。
その原因の一つが「クラッシュ症候群」です。
名前を聞いたことがあっても、どのような状態なのか、詳しく知らない方もいるかもしれません。
今回は、クラッシュ症候群の基本と、災害時に覚えておきたいことをまとめます。

クラッシュ症候群とは?
クラッシュ症候群は、日本語で「挫滅症候群(ざめつしょうこうぐん)」とも呼ばれます。
家具やがれきなどの重い物によって、腕や脚などの筋肉が長時間圧迫され、傷つくことで起こる全身の障害です。
地震による建物の倒壊だけでなく、事故などでも発生します。
体の一部が強く圧迫されると、その部分の血流が悪くなり、筋肉の細胞が傷つきます。
そして、圧迫が解除されて血流が戻ると、傷ついた筋肉からカリウムやミオグロビンなどの成分が血液中に流れ出します。
その結果、重い不整脈や急性腎障害、ショックなどを引き起こし、命に関わることがあります。
つまり、挟まれた部分のけがだけではなく、心臓や腎臓など、全身に影響することがあるのです。

救出されて話せていても、安心しきらない
救出された人が「大丈夫です」と話していると、ひとまず安心してしまうかもしれません。
けれど、会話ができることだけで、体の中の状態まで判断することはできません。
長時間圧迫されていた人は、見た目や本人の言葉だけで「問題ない」と決めず、早く医療につなぐことが大切です。
また、危険性は圧迫された時間だけで決まるものではありません。
圧迫の強さや、影響を受けた筋肉の量なども関係します。
「○時間以内なら安全」「痛みが少ないから大丈夫」と、自己判断しないようにしましょう。
救出は大切な一歩ですが、その後の診察や治療までつなぐことが、命を守るために必要です。
覚えておきたいのは、「救出できた後も、医療につなぐ」ということです。

挟まれている人を見つけたら、119番で状況を伝える
挟まれている人を見つけたら、まず周囲の安全を確認し、できるだけ早く119番に連絡しましょう。
通報では、場所や目印に加えて、何に挟まれているのか、体のどの部分が圧迫されているのかを伝えます。
挟まれた時刻や、どのくらい経過しているかがわかれば、その情報も役立ちます。
呼びかけへの反応、呼吸の様子、出血の有無、周囲の火災や倒壊の危険なども、わかる範囲で伝えてください。
正確な時間がわからなければ、無理に推測せず「わかりません」と伝えて大丈夫です。
状況によっては、救出前から点滴などの医療処置が必要になる場合があります。
救助と医療の連携が大切なので、通信指令員や現場の救助隊の指示を受けましょう。
「早く助けたい」という気持ちとともに、専門家へ状況を伝えることも、救命につながる行動です。

「絶対に助け出してはいけない」と思い込まない
クラッシュ症候群の説明を読んで、「圧迫を解除すると危険なら、助け出さないほうがよいのでは」と感じるかもしれません。
しかし、「絶対に助け出してはいけない」と、一律に考えるのは適切ではありません。
火災やさらなる倒壊など、差し迫った危険があるかによって、必要な対応は変わります。
大切なのは、早く救助を求め、状況を伝え、専門家の指示につなぐことです。
自己判断で危険な場所へ入ったり、無理に体を引っ張ったり、重い物を不安定な状態で動かしたりすると、本人にも救助する人にも危険が及びます。
また、クラッシュ症候群を防ごうとして、自己流で手足を強く縛ることも避けてください。
助ける人自身が、次の被災者にならないこと。周囲にも助けを求め、安全を確保しながら行動することが大切です。

家具の転倒防止も、命を守る備え
クラッシュ症候群を知ることとあわせて、家具の下敷きにならないための対策も見直したいですね。
背の高い家具は、家具や壁の構造に合った方法で固定する。
重い物は高い場所に置かない。
寝る場所の近くに、倒れてくる家具がないか確認する。
出入口や避難経路を、家具がふさがない配置にする。
こうした備えは、地震によるけがや、閉じ込められる危険を減らすことにつながります。
固定器具を取り付けていても、緩みや外れがないか、定期的に確認しておきましょう。
防災は、水や非常食を用意するだけではありません。
毎日過ごす部屋を安全に整えることも、自分や家族を守る大切な備えです。

まとめ|救出後も医療につなぐことを忘れずに
クラッシュ症候群は、長時間の圧迫による筋肉の損傷から、全身に重い影響が生じるものです。
救出後に話せていても安心しきらず、早く医療につなぐこと。
挟まれている人を見つけたら、119番で状況を伝え、指示を受けること。
そして、救助する人自身の安全も守ることを覚えておきましょう。
今日、家の中の家具の固定や配置を、少し見直してみませんか。
「下敷きにならない備え」と「救出後も医療につなぐ意識」を、大切な人を守るために持っておきたいと思います。



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