千葉県をはじめ、豪雨により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
豪雨で家が浸水・損壊すると、片づけだけでなく、住む場所、修理費、生活費、行政手続きなど、たくさんの問題が一度に押し寄せます。
「国や自治体はどこまで助けてくれるの?」
「高齢で役所へ行けない」
「修理業者にすぐ依頼してもいい?」
と不安になる方もいるでしょう。
国や自治体の支援だけで損害のすべてが補償されるわけではありません。
しかし、罹災証明書を入口として、住宅の応急修理、仮設住宅、生活再建支援金、見舞金、税・保険料の減免などを利用できる場合があります。
この記事では、被災後に取るべき行動を順番に解説します。
※制度の適用、対象者、支給額、申請期限は、災害や市区町村によって異なります。必ず被災した住所の市区町村へ確認してください。
1.安全を確保し、片づける前に写真を撮る

浸水した住宅では、感電、ガス漏れ、床の抜け落ち、倒壊、釘やガラスによるけがなどの危険があります。
自治体や消防から立入りを止められている場合や、建物が傾いている場合は中へ入らないでください。
安全が確認できたら、片づける前に次の場所を撮影します。
- 家の外観をなるべく四方向から撮る
- 浸水の高さが分かる壁、柱、玄関を撮る
- 部屋全体と、床・壁・窓などの被害箇所を撮る
- 家具、家電、衣類など被災した家財を撮る
- 車、物置、給湯器、エアコン室外機なども撮る
遠くから撮った全体写真と、被害箇所が分かる近接写真を組み合わせるのがポイントです。
写真は罹災証明書の調査、保険金請求、税の減免などで役立つ可能性があります。
捨てる物も、処分前に写真を撮り、品名や数量をメモしておきましょう。
購入時期や価格が分かる資料があれば一緒に保存します。
2.市区町村に罹災証明書を申請する

罹災証明書とは、自然災害によって住家が受けた被害の程度を、市区町村が調査して証明する書類です。
被害は一般に、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、準半壊に至らない一部損壊などに区分されます。
判定結果によって、利用できる支援が変わる場合があります。
罹災証明書は、次の手続きで必要になることがあります。
- 被災者生活再建支援金
- 住宅の応急修理
- 応急仮設住宅や公営住宅への入居
- 自治体の災害見舞金や義援金
- 税金、国民健康保険料、介護保険料などの減免・猶予
- 損害保険や共済の請求
- 災害援護資金などの貸付
申請窓口、必要書類、期限は自治体によって異なります。
ホームページを確認できない方は、市役所・町村役場の代表電話へ連絡し、「罹災証明書と被災者支援の窓口につないでください」と伝えましょう。
判定に疑問がある場合、自治体によっては再調査を申請できることがあります。
通知書を確認し、早めに相談してください。
3.家に住めない場合に相談できること

自宅で安全に生活できない場合は、市区町村へ次のように具体的に伝えます。
自宅が浸水し、今日から住むことができません。
高齢で、自分だけでは住まいを探せません。
利用できる避難先や住宅支援を教えてください。
災害救助法の適用や被害状況などにより、次の住まいが用意される場合があります。
- 避難所
- 福祉避難所
- 公営住宅の一時提供
- 建設型の応急仮設住宅
- 民間賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」
対象者、家賃上限、入居期間、申込方法は地域ごとに異なります。
自分でホテルや賃貸住宅を契約した後では公費の対象にならない可能性もあるため、可能な限り契約前に自治体へ確認してください。
4.住宅の応急修理制度とは
災害救助法が適用された地域などでは、一定の被害を受けた住宅について、日常生活に欠かせない部分を応急的に修理する制度が実施される場合があります。
対象となり得るのは、屋根、床、壁、窓、玄関、上下水道、台所、トイレなどです。
豪華な内装への変更や家電の買い替えなどは、原則として対象になりません。
注意したいのは、本人へ修理費が現金で支給される制度ではないことです。
通常は自治体が修理業者へ直接支払います。
また、被害程度や資力などの要件があります。
契約や支払いを急がない

制度の申込み前に工事を完了させたり、代金を支払ったりすると、対象外になる場合があります。
修理業者へ依頼する前に、次の順番で確認してください。
- 被害状況を写真で残す
- 市区町村へ応急修理制度の対象になるか相談する
- 火災保険・共済の窓口にも連絡する
- 業者から工事内容が分かる見積書を取る
- 自治体の案内に従って申請・契約を進める
雨漏りや漏電など緊急性が高い場合は、安全を優先しつつ、作業前後の写真、見積書、請求書、領収書を残し、自治体と保険会社へ早急に相談しましょう。
5.利用できる可能性があるお金の支援
住宅の被害程度や世帯状況、法律の適用状況によって、次の支援を受けられる場合があります。
- 被災者生活再建支援金
- 自治体や社会福祉協議会の災害見舞金
- 日本赤十字社や共同募金会などを通じた義援金
- 災害援護資金・生活福祉資金などの貸付
- 所得税・住民税の雑損控除や災害減免
- 国民健康保険料・介護保険料などの減免や猶予
- 電気、ガス、水道、通信料金などの特別措置
床上浸水したすべての世帯が、同じ支援金を受け取れるわけではありません。
「自分は対象外だろう」と決めつけず、市区町村の被災者相談窓口で、利用できる制度を一つずつ確認してください。
火災保険や共済に水災補償が付いている場合は、保険金を請求できる可能性があります。
保険証券が見つからなくても、加入先が分かれば相談してください。
6.高齢者や一人暮らしの方は支援者へつながる

高齢の方が一人で、申請書の記入、窓口への移動、業者との打合せ、家財の運び出しまで行うのは困難です。
次の窓口へ相談してください。
- 市区町村の被災者相談窓口・福祉担当課
- 地域包括支援センター
- 担当のケアマネジャー
- 社会福祉協議会
- 民生委員
- 災害ボランティアセンター
「何を相談すればよいか分からない」という場合は、次の言葉をそのまま伝えて構いません。
高齢で、一人では手続きを進められません。家に住めず、生活費にも不安があります。受けられる支援を一緒に整理してください。
窓口へ行けない場合も、電話でその事情を伝えましょう。
代理申請、訪問相談、移動支援などを受けられる可能性があります。
7.災害に便乗した悪質商法を防ぐ

被災直後は、突然訪問してきた業者から
「屋根が危険」「今日契約すれば安くなる」「保険金を使えば自己負担なし」
と勧誘されることがあります。
- その場で契約・支払いをしない
- 業者の名称、住所、連絡先を確認する
- 工事内容と金額が分かる書面をもらう
- 複数の業者から見積もりを取る
- 保険金申請の高額な代行手数料に注意する
- 家族、自治体、保険会社へ相談する
不審な契約や勧誘については、消費者ホットライン「188」へ相談できます。
身の危険を感じた場合は110番へ連絡してください。
8.書類と相談記録を一つにまとめる
被災後は多くの窓口と連絡するため、記録を残すことが大切です。
- 被害写真
- 罹災証明書と申請書の控え
- 保険証券や保険会社とのやり取り
- 見積書、契約書、請求書、領収書
- 電話した日、相手の所属・氏名、回答内容
- 被災した家財の一覧
紙の書類はファイルや防水袋にまとめ、スマートフォンでも撮影しておくと安心です。
家族が離れて暮らしている場合は、必要な範囲で情報を共有しましょう。
まとめ|一人で生活再建を背負わないで

豪雨で家が被災したら、次の順番を意識してください。
- 命の安全を確認する
- 片づける前に被害写真を残す
- 市区町村へ罹災証明書を申請する
- 住めないことや支援が必要な事情を具体的に伝える
- 修理の契約・支払い前に公的制度と保険を確認する
- 地域包括支援センターなど、周囲の支援者につながる
- 悪質な修理業者に注意する
支援は、待っているだけでは届かないことがあります。
しかし、被災し、疲れ切った方が一人ですべてを調べる必要はありません。
「一人では手続きできません。助けてください」と伝えて大丈夫です。
被害を受けられた皆さまが、一日も早く安心できる住まいと暮らしを取り戻せることを、心より願っています。
参考となる公的情報
- 政府広報オンライン「住まいが被害を受けたとき 最初にすること」
https://www.gov-online.go.jp/article/202003/entry-9034.html - 内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf - 内閣府「被災者の住まいの確保」
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/sumai.html - 消費者庁「消費者ホットライン188」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/


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